ONLINE ARCHIVE第 一 書 庫
夜の雲の上を飛ぶ、1971年当時のボーイング727をイメージした再現画像。人物や降下地点は描いていない
1971年の夜間飛行をイメージしたAI再現画像。実際の305便を撮影した写真ではありません。
記録番号USA–HIS–1971
歴史の謎FILE 043

D.B.クーパー事件Northwest Orient Flight 305

20万ドルと飛び降りた男は、
どこへ消えた?

1971年、ひとりの男が旅客機で20万ドルと4つのパラシュートを要求しました。乗客を降ろしたあと、男は夜の空へ飛び降り、姿を消します。飛行の時刻も、紙幣の番号も分かっているのに、なぜ本人へたどり着けなかったのでしょう。

▰ カテゴリ歴史の謎◎ 地域アメリカ北西部◆ キーワードD.B.クーパー / 航空機ハイジャック / 未解決事件▥ こわさ▲ ちょっとこわい

01|片道券の男

名前は「Dan Cooper」。
それが本名かは分からない。

1971年11月24日、男はオレゴン州ポートランドで、シアトル行き305便の片道券を現金で買いました。券に書いた名はダン・クーパー。新聞が広めた「D.B.」は、別人の名から生まれた呼び方です。

離陸後、男は客室乗務員に、かばんに爆弾があると書いたメモを渡しました。要求は20万ドルの現金と4つのパラシュート。シアトルに着くと、36人の乗客を降ろす代わりに、それらを受け取りました。

FBIが公開する、サングラスをかけた姿と外した姿の捜査用似顔絵2点
目撃証言から作られた捜査用似顔絵であり、本人写真ではありません。似顔絵だけで身元が確定したわけではありません。出典:FBI公式記録 ↗

Dan Cooper名義の実物の航空券をFBIで見る ↗

ここまでは空港、乗務員、航空券、機内に残った物がつながります。ところが、再び離陸すると、手がかりは夜空の中で急に粗くなります。

02|夜の空へ

午後8時すぎ、
後ろの階段が動いた。

FLIGHT 305|1971.11.24

飛行の順序と「最後の数分」

場所と時刻の関係を単純化した模式図です。飛行経路・降下地点を実測した地図ではありません。

305便は機体後部に階段を備えたボーイング727でした。男は飛行高度や速度にも注文をつけました。シアトルを再出発した機内には、男と数人の乗員だけが残りました。

午後8時すぎ、乗員は機体の後ろ側で圧力の変化を感じました。男が階段から飛び降りたと考えられる重要な反応です。飛行機がネバダ州リノへ着いたとき、男と身代金は消えていました。

時刻の手がかりはあります。しかし飛行機はその間も南へ進んでいます。男が階段に出た瞬間、機体を離れた瞬間、地上へ着いた場所は同じ一点ではありません。

04|戻った紙幣

5,800ドルは見つかった。
でも、地図は完成しなかった。

1980年に発見され、身代金の紙幣番号と一致した傷んだ20ドル札をFBIが公開した写真
事件とつながった、傷んだ20ドル札

1980年、少年がコロンビア川沿いで見つけました。FBIが記録していた身代金の番号と一致しています。写真:FBI公式公開資料。

THE MONEY TRAIL

番号の分かる20万ドル、そのうち見つかったのは5,800ドル

$200,000渡された身代金20ドル札 10,000枚
紙幣番号を記録
8年大きな手がかりなし番号を追えても
使われた流れは確認できず
$5,8001980年に発見コロンビア川沿い
番号は身代金と一致

見つかった紙幣は事件と確実につながります。けれど「誰が、どう運んだか」は紙幣だけでは語りません。

金額と紙幣番号の一致はFBI記録によります。発見地点からクーパーの生死や移動経路を断定しません。

この発見場所は、初期に想定された降下地点から離れていました。だから紙幣は重要ですが、答えを一つにしません。本人が運んだのか、水で移動したのか、別の経路があったのかを、発見だけで確定できないからです。

回収された5,800ドル以外の身代金も、クーパー本人と確認できる人物も、公的に決着する形では見つかっていません。

回収紙幣とネクタイをFBI公式ページで確認する ↗

05|捜査の現在地

証拠は残った。
人物と結末は残らなかった。

FBIは捜査を「NORJAK」と呼び、何百人も調べました。似た事件を起こした人物も候補になりましたが、目撃証言との違いなどから、クーパー本人とは確認されませんでした。

2016年7月、FBIはこの事件に割いていた捜査資源を、ほかの優先事件へ移すと発表しました。これは身元が判明したという意味ではありません。具体的な物証が現れれば受け付けるとしています。

分かっている飛行・要求・目撃像・紙幣番号
まだ分からない本名・正確な着地点・生死

飛行記録は、男がいつ消えたかをしぼりました。紙幣番号は、川辺の5,800ドルを事件へ戻しました。それでも、この二本の線は一人の人物で結ばれていません。

夜空へ消えた男の謎は、手がかりが少ないからではなく、確かな手がかり同士の間が、まだつながっていないために残っています。

REFERENCE DESK

参考資料・関連リンク

事件の骨格、航空券、捜査資料、回収紙幣、現在の捜査方針をFBI公式資料で確認しました。捜査上の推定と、確認された物証を分けて読める資料です。

画像クレジット

捜査用似顔絵・回収された20ドル札:Federal Bureau of Investigation(FBI) / 似顔絵の原典 ↗ / 紙幣写真の原典 ↗ / 画像利用条件 ↗。FBIの活動・歴史を紹介する記事での利用。配布元は無料・個別許可不要とし、FBI等の出典表示を求めています。掲載用の縮小・WebP変換のみ。FBIによる当サイトや広告の推薦を示すものではありません。

飛行順序・降下地点の不確実性・身代金追跡図:FBI公式記録をもとにMYSTRAILが独自作成した模式図。正確な航路・着地点を示す実測図ではありません。

Hero・03章の旅客機/降下/地形:理解を助けるAI再現画像。実際の事件写真ではなく、人物・降下地点を特定するEvidenceではありません。03章の矢印・点線は関係を示す概念図です。