01|まず、何が違うのか
ぱっと光る稲光とは違って、
光の玉が残ったという。

雷は、空気の中を強い電気が流れて光る現象です。線状の稲光はぱっと走ります。一方、球電の報告には、丸い光が数秒ほど残り、動いたというものがあります。
日本にも目撃報告があります。2007年の日本気象学会の雑誌には、札幌で白い光の玉を約1秒見たという報告が載りました。ただし、載っている図の光球は、目撃者の記憶から描いたものです。
「見た」という話は大切な入口です。でも、光の正体を調べるには、後から見直せる記録も欲しくなります。
02|短い光を、装置がとらえた
虹色の帯は、
空の虹ではありません。

2012年7月、中国の青海で、研究者が普通の雷を調べていました。約900メートル離れた場所に雷が落ち、その後、光の玉が現れました。カメラと、光を細かく分ける装置が記録を残しました。
研究者はこれを球電として、2014年に報告しました。写真の虹色は、そこに虹が出たのではありません。光を分けて写したものです。元の映像と、観測の説明を見る ↗
姿だけでなく、光の中身も調べられる。ここから、意外な手がかりが見つかりました。
03|空の光から、地面の手がかり
光の中に、
土にもある成分が見つかった。
考えられている仮説:土の小さな粒が光る?

測定で見つかった光の成分
ケイ素・鉄・カルシウム — 土にも含まれる
物質によって、出す光の特徴が違います。装置で光を細かく分け、どんな光が強いか調べると、何が光っているのかを考えられます。この調べ方を分光といいます。
記録には、ケイ素、鉄、カルシウムの光が見つかりました。これらは土にも含まれる成分です。雷が地面に落ち、土から生まれた小さな粒が空気と反応して光る、という仮説を考える手がかりになりました。
けれど、成分が分かることと、光がどう生まれて続くかを説明できることは別です。2025年の研究では、光の成分から放射の強さを分析し、周囲の電気が供給されるしくみも提案されました。これも、一つの観測を説明しようとする研究です。
すべての球電が、同じしくみで光ると決まったわけではありません。では、別の場所の光の玉も、写真さえあれば正体を確かめられるでしょうか。
04|写真があっても、確かめることがある
大きく写った光が、
大きな玉とは限らない。

2023年、米国モンタナ州の防犯カメラに、動く二つの光が写りました。2025年に発表された研究では、映像と周囲の状況を詳しく調べました。
近くの電線で起きた放電から飛び出した、燃える小さなかけらだった可能性も残りました。さらに、似たカメラを使う実験で、強い光が大きく広がって写ることを確かめました。実際の映像のコマと、検証を見る ↗
光が写っているのは確かでも、それを球電と呼んでよいかは別の問いです。先ほどの中国の観測についても、電線の放電という別の解釈が指摘されています。
見慣れない光を、すぐに不思議な現象と決めない。でも、分からないからといって、調べるのをやめない。光と、その周りにあったものを合わせて確かめるのです。
05|光が消えた後にも、手がかりはある
光の玉だけでなく、
その場所も調べる。

日中の写真では、丘や電線が見えます。夜の光だけを切り取ったときには、分からなかった周囲の様子です。どこで光ったのか、電線は近くにあったか、カメラはどう写すか。それらも原因を考える手がかりになります。
何が起きた?
雷雨のとき、丸い光が残ったという報告があり、映像や光の成分を測った例もあります。
何が分かっている?
中国の観測では土にもある成分の光が記録されました。似た光の映像には、電線の火花やカメラの写り方も関わり得ます。
何がまだ分からない?
光を保つエネルギーがどう供給されるのか。各地の報告はすべて同じ現象なのか。原因を一つに決める説明は、まだありません。
短い光が残した記録は、「見えた」で終わらず、「何が光ったのか」を考える入口になりました。次の確かな記録は、どの説明に近づくのでしょう。
雷の音が聞こえたら、光を探しに出ず、頑丈な建物など安全な場所へ避難してください。
REFERENCE DESK
参考資料・関連リンク
目撃報告、実際の光の測定、原因の仮説を分けて確認しました。最新資料の確認:2026年10月11日。
分光像・日中の観測周辺:Ping Yuan・Tingting An/Zenodo(2025)↗、CC BY 4.0 ↗。分光像は公開JPEGを無加工掲載。観測周辺は公開TIFFをWebPへ変換。位置を示す印は元資料にある注記です。
記事入口の光の玉:AI生成による想像画像。実際の観測記録や、特定の目撃場面の精密な復元ではありません。本文01の連続場面、03の土の粒子の仮説、04の撮影場面もAI生成の説明イメージです。公開実資料とは区別し、測定値や実験装置の精密な復元を示すものではありません。
