01|写真の中の顔
火星から届いた、
不思議な一枚。
入口の白黒画像は、1976年7月25日に撮られました。火星の周りを飛ぶ探査機バイキング1号が、上空から地面を見下ろしたものです。中央の少し上にある、明るい部分と暗い部分が重なった形を見てください。人の顔に見えませんか。
この場所はシドニアと呼ばれる地域で、顔に似た岩の高まりは「人面岩」として知られるようになりました。宇宙人がつくった記念物ではないかという話も広まりました。
ただ、顔に似て見えることと、だれかが顔を彫ったことは、同じではありません。この一枚には、見え方を考える手がかりが残っています。
02|影と黒い点
目や口に見えるのは?
太陽の光が低い角度から当たると、地面のでこぼこに長い影ができます。最初の画像では、岩の明暗が鼻や口のように見えていました。NASAの科学者たちは、当初から自然の地形と光の当たり方による見え方だと説明していました。
さらに、画像に散らばる黒い点の中には、火星から地球へ送る途中でデータが欠けたものもあります。NASAの解説では、「目」や「鼻の穴」に見える部分の一部にも、この欠けが重なっています。写真の黒い点を、すべて岩の穴だと思うことはできません。
元画像と、影・黒い点の説明を見る(NASA・英語) ↗それなら、別の条件でもう一度撮ったらどう見えるのでしょう。遠くからの一枚で終わらず、同じ場所を確かめる機会が訪れました。
03|同じ場所をもう一度
細かく写すと、
岩の形が見えてくる。
1998年、別の探査機マーズ・グローバル・サーベイヤーが、人面岩を撮影しました。2001年には、さらに細かいでこぼこまで分かる画像が届きます。下の二枚は、同じ地形を写したものです。


「目」や「口」だと思った場所を、今度は岩の斜面や溝として見てみましょう。詳しい観測は、ここが自然にできた岩の高まりだという説明を確かめるものになりました。顔が消えたのではなく、写し方が変わり、地面の様子がよく分かるようになったのです。
2001年の観測画像と撮影条件を見る(NASA・英語) ↗04|岩の地形を見る
顔の先に、
火星の地面がある。
2007年には、さらに細かく写せるカメラHiRISEがこの地形を観測しました。下は、その高まりの一部を拡大した実画像です。斜面の模様や、表面のでこぼこが見えてきます。

シドニアには、周りが削られて残った岩の高まりがいくつもあります。人面岩も、そうした地形の一つとして調べられています。写真から形は分かっても、いつ、どんな順序で地面が変わったかをすべて読み取れるわけではありません。
最初の写真に戻ると、まだ顔のように見えるかもしれません。それでも今は、その明暗の下に岩の斜面があると知っています。同じ場所を違う条件で見ることが、遠い火星の地面を知る手がかりになったのです。
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参考資料・関連リンク
入口・カード・1976年の比較画像:NASA/JPL、PIA01141。比較の2001年画像:NASA/JPL/MSSS、PIA03225。最後の画像:NASA/JPL-Caltech/UArizona、PSP_003234_2210(Public Domain)。公式配布の実画像を使用し、表示用の切り出し・縮小・WebP変換のみ行っています。欠けた画素の補完やAI生成はしていません。
