01|隕石の跡?
丸い形だけでは、
決められない。
「サハラの目」と呼ばれるこの地形は、リシャット構造といいます。資料では直径約40〜50kmと紹介されるほど大きく、地上に立つだけでは全体を見渡しにくい場所です。
初めは、宇宙から落ちてきた石、隕石がつくった穴ではないかと考えられました。でも、調べてみると、衝突を示す特別な鉱物が見つからず、大きさのわりに浅いことも分かりました。今は、隕石が落ちた穴とは考えられていません。
では、穴でないのなら、何が輪になっているのでしょう。地面を横から切って見るつもりで、岩の重なりを考えてみます。
衝突説と岩の手がかりを読む(JAXA・日本語) ↗02|層と輪の関係
盛り上がった層を、
削っていくと。
この場所には、長い時間をかけて重なった岩の層があります。重なりをまとめて「地層」と呼びます。地下で溶けた岩石のマグマが入りこみ、その上の層を丸く押し上げたと考えられています。
① 横から:盛り上がる
重なった層が、丸く押し上げられます。層を色で分けています。
② 横から:上が削られる
点線は削られた部分。今の地表には、違う層が顔を出します。
③ 上から:輪に見える
同じ地表を上から見た図。現れた層が、輪のようにつながります。
そこから風や水などに削られると、違う岩の層が地表に現れます。こうして削られることを侵食といいます。丸く盛り上がった層の上が失われるため、現れた層も輪のようにつながるのです。
しかも、岩によって削られやすさが違います。削られにくい岩は高い尾根として残り、その間には低い場所ができます。目のような模様は、岩の違いと、長い時間をかけた変化でできた地形でした。
03|写真の色を読む
色を変えると、
岩の違いが見えてくる。
次は、同じ地域を二通りの色で見た衛星画像です。ふだん目にする色に近い画像と、岩などの違いが見分けやすいよう、観測した光に別の色を割り当てた画像を比べます。


ESAの解説では、削られにくい岩が、外側の輪や内部の尾根をつくると説明されています。色を変えた画像は、見え方の違うもう一枚の手がかりです。赤い部分を、溶岩が光っている場所だと読み違えないことも大切です。
比較した2点は、2025年9月のSentinel-2画像です。ESA / Copernicus Sentinel、CC BY-SA 3.0 IGO。どちらも同じ地域を拡大しています。
元の比較画像と説明を見る(ESA・英語) ↗04|地面に残る時間
大きな輪は、
地面の歴史の一部。
輪ができた大まかな理由は、岩の層が盛り上がり、削られたことだと説明されています。けれど、地下でどのような活動が、どんな順序で起きたのかを詳しく知るには、写真だけでなく岩石を調べる必要があります。
2024年の研究は、岩石の年代や化学成分を調べ、別々の時期に起きたマグマの活動が関わるという説明を提案しました。年代の推定には限界もあり、「この輪が一度の出来事でできた」と簡単に決められる話ではありません。

もう一度、砂漠の中の輪を見てみましょう。最初は大きな穴に見えた形が、重なった岩の層と、削られてきた時間の記録に見えてきませんか。上から見ることと、岩を近くで調べること。その両方が、地面の歴史を知る手がかりになります。
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