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砂漠に何重もの岩の輪が見える、リシャット構造の衛星画像
2026年3月の衛星画像。NASA / USGS
記録番号MRT–PHN–001
不思議な場所・現象FILE 057

リシャット構造(サハラの目)Richat Structure

サハラの目は、
どうできた?

砂漠を宇宙から見ると、何重もの輪が見えてきます。まるで、地面に大きな目があるようです。場所はアフリカのモーリタニア。宇宙から石が落ちた跡にも見えるこの形は、どうやってできたのでしょう。手がかりは、輪をつくる岩にあります。

▰ カテゴリ不思議な場所・現象◎ 地域モーリタニア・サハラ砂漠◆ キーワードサハラの目 / リシャット構造 / 地層 / モーリタニア / 侵食▥ こわさこわさは低め

01|隕石の跡?

丸い形だけでは、
決められない。

「サハラの目」と呼ばれるこの地形は、リシャット構造といいます。資料では直径約40〜50kmと紹介されるほど大きく、地上に立つだけでは全体を見渡しにくい場所です。

初めは、宇宙から落ちてきた石、隕石いんせきがつくった穴ではないかと考えられました。でも、調べてみると、衝突を示す特別な鉱物が見つからず、大きさのわりに浅いことも分かりました。今は、隕石が落ちた穴とは考えられていません。

では、穴でないのなら、何が輪になっているのでしょう。地面を横から切って見るつもりで、岩の重なりを考えてみます。

衝突説と岩の手がかりを読む(JAXA・日本語) ↗

02|層と輪の関係

盛り上がった層を、
削っていくと。

この場所には、長い時間をかけて重なった岩の層があります。重なりをまとめて「地層」と呼びます。地下で溶けた岩石のマグマが入りこみ、その上の層を丸く押し上げたと考えられています。

① 横から:盛り上がる

重なった層が、丸く押し上げられます。層を色で分けています。

② 横から:上が削られる

点線は削られた部分。今の地表には、違う層が顔を出します。

③ 上から:輪に見える

同じ地表を上から見た図。現れた層が、輪のようにつながります。

輪が現れる大まかな仕組みを示した簡略図。実際の地下の形や、層の色・数・厚さを復元したものではありません。

そこから風や水などに削られると、違う岩の層が地表に現れます。こうして削られることを侵食しんしょくといいます。丸く盛り上がった層の上が失われるため、現れた層も輪のようにつながるのです。

しかも、岩によって削られやすさが違います。削られにくい岩は高い尾根として残り、その間には低い場所ができます。目のような模様は、岩の違いと、長い時間をかけた変化でできた地形でした。

03|写真の色を読む

色を変えると、
岩の違いが見えてくる。

次は、同じ地域を二通りの色で見た衛星画像です。ふだん目にする色に近い画像と、岩などの違いが見分けやすいよう、観測した光に別の色を割り当てた画像を比べます。

ふだんの色に近い画像砂色や青灰色に見える岩の輪。Sentinel-2の自然色画像
輪になった岩と、その間の低い場所を探してみてください。
違いを見分けやすくした画像同じ地域を別の色で表し、岩の違いを見やすくした疑似カラー画像
赤やピンクは、削られにくい岩などを目立たせる色。地面が実際に真っ赤という意味ではありません。

ESAの解説では、削られにくい岩が、外側の輪や内部の尾根をつくると説明されています。色を変えた画像は、見え方の違うもう一枚の手がかりです。赤い部分を、溶岩が光っている場所だと読み違えないことも大切です。

比較した2点は、2025年9月のSentinel-2画像です。ESA / Copernicus Sentinel、CC BY-SA 3.0 IGO。どちらも同じ地域を拡大しています。

元の比較画像と説明を見る(ESA・英語) ↗

04|地面に残る時間

大きな輪は、
地面の歴史の一部。

輪ができた大まかな理由は、岩の層が盛り上がり、削られたことだと説明されています。けれど、地下でどのような活動が、どんな順序で起きたのかを詳しく知るには、写真だけでなく岩石を調べる必要があります。

2024年の研究は、岩石の年代や化学成分を調べ、別々の時期に起きたマグマの活動が関わるという説明を提案しました。年代の推定には限界もあり、「この輪が一度の出来事でできた」と簡単に決められる話ではありません。

周囲の広い砂丘と、その奥にあるリシャット構造をISSから撮影した実写真
2020年7月10日、ISSから撮影。輪を囲む砂丘まで見渡せます。NASA-JSC / ISS Crew Earth Observations Facility

もう一度、砂漠の中の輪を見てみましょう。最初は大きな穴に見えた形が、重なった岩の層と、削られてきた時間の記録に見えてきませんか。上から見ることと、岩を近くで調べること。その両方が、地面の歴史を知る手がかりになります。

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参考資料・関連リンク

最新の衛星画像NASA Earth Observatory|Eyeing the Richat Structurescience.nasa.gov2026年4月16日公開。地形の成り立ちと、3月5日・6日に撮像されたLandsatの合成画像。岩と観測の色ESA|Earth from Space: Eye of the Saharawww.esa.int2025年11月28日公開。9月のSentinel-2画像で、自然色と疑似カラーを比較しています。日本語で読むJAXA|リシャット構造 サハラの目www.satnavi.jaxa.jp大きさ、衝突説が退けられた理由、岩の層が削られてできる輪を説明しています。地質の手がかりIUGS|Richat Structure, a Cretaceous Alkaline Complexiugs-geoheritage.org国際地質科学連合の地質遺産解説。地形と地下の火成活動に関わる研究を紹介。年代を調べる研究Abdeinaほか(2024)|How old is the Eye of Africa?agris.fao.orgLithos誌の研究。Ifremer提供の論文抄録をFAO AGRISで読むことができます。分析とモデルから複数時期の活動を提案し、年代推定の限界も記しています。宇宙からの写真NASA Earth Observatory|The Eye of the Saharascience.nasa.gov2022年7月10日公開。ISSから2020年7月10日に撮影された、周囲の砂丘も見渡せる実写真。画像クレジットNASA / USGS・NASA-JSCの画像www.nasa.gov入口・書架:NASA Earth Observatory/Lauren Dauphin, using Landsat data from USGS。2026年画像をトリミング・縮小・WebP変換。最後の写真:NASA-JSC / ISS Crew Earth Observations Facility、ISS063-E-43607。元の写真はコントラスト等を調整済み。表示用に縮小・WebP変換。情報・教育目的の使用指針に従って掲載し、NASAの推薦や監修を示すものではありません。画像クレジットESA / Copernicus Sentinel(2025)creativecommons.orgcontains modified Copernicus Sentinel data (2025), processed by ESA / CC BY-SA 3.0 IGO。比較2点を同じ地域が見えるようトリミング・縮小・WebP変換。加工画像にも同ライセンスを適用。断面と上面の簡略図は本文資料をもとに作成した説明図で、実測図ではありません。