AIによるイメージイラストナスカの地上絵は、なんのために描かれた?
空から見える巨大な絵。地上へ降り、砂漠を歩くと、謎の見え方が変わり始めます。
※復元場面は研究資料をもとにしたイメージです。30秒でわかるお話
ペルー南部の乾いた大地には、動物や人、長い直線など、たくさんの地上絵が残っています。暗い石をよけて明るい地面を見せる作り方は、かなり分かっています。本当の謎は、何のために描いたのか。近年、AIを使った候補探しと現地調査で多数の絵が見つかり、大きな絵と小さな絵では役割が違った可能性が見えてきました。
SECTION 01|WHERE ARE THEY?
ナスカの地上絵は、
どこにある?
ナスカの地上絵があるのは、南アメリカのペルー南部です。ナスカとパルパ周辺の、とても乾燥した台地に、動物や人物、長い直線などが残されています。この一帯は、ユネスコの世界遺産にも登録されています。
南アメリカのペルー
大陸の西側、太平洋に面した国
ペルー南部の砂漠
ナスカ/パルパ周辺
動物
鳥、サル、クモなど。
人物
人の姿や社会に関わる場面。
植物
花や木などの図形。
線と図形
直線、台形、らせんなど。
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有名なハチドリは、その一部にすぎません。地上絵は一度に作られたのではなく、長い時代の中で形や線が増えていきました。
SECTION 02|GROUND WORK
どうやって、
こんなに大きく描いた?

BEFORE|暗い石が表面をおおう
ACTION|石を両側へよける
AFTER|明るい線が長く続く表面の暗い石をよけると、その下の明るい地面が線として現れます。縄や杭で位置を確かめ、小さな作業をつなげれば、大きな形を作れます。飛行機や未知の超技術がなくても、制作方法は説明できます。
線が長く残った大きな理由は、雨が少なく乾燥した環境です。ただし、道路や人の活動、洪水によって傷つく危険は今もあります。
SECTION 03|WHY?
作り方は分かった。
では、なんのため?
人々が集まる儀式、水や作物への願い、暦や天体との関係、移動する道など、さまざまな考えが研究されてきました。けれど、地上絵は大きさも場所も同じではありません。全部を一つの目的だけで説明できるのでしょうか。
儀式・水・移動・情報
遺跡の配置、土器、道、モチーフなど、現地の証拠と比べながら検討されています。
宇宙人へのメッセージ
「空から見えるほど大きい」という驚きから広まった物語。制作に宇宙人が関わった考古学的証拠は確認されていません。
この章で分かったこと:すべての地上絵が、空から見るために作られたとは限りません。
SECTION 04|2024 · AI-ASSISTED SURVEY
約2000年後、
AIが候補探しを手伝った。
ナスカ台地は広く、すべてを人の目だけで探すには長い時間がかかります。そこで研究者は、航空画像から地上絵らしい場所を探す作業にAIを使いました。

6か月の現地調査で確認された、人や動物など何が描かれているか分かる地上絵。
AIが候補を探し、研究者が画像を確認し、最後は現地を歩いて確かめる。この組み合わせで、これまで見落とされていた小さな絵も調べやすくなりました。
この章で分かったこと:AIは地上絵を認定したのではなく、研究者の候補探しを速くしました。
SECTION 05|TWO WAYS OF DRAWING
大きな絵と、小さな絵。
同じ目的とは限らない。

大きな地上絵
- 野生動物が比較的多い
- 長い直線や台形と関係する
- 多くの人が関わる儀式との関連が考えられる
小さな地上絵
- 人や家畜など、人の暮らしに近い絵が多い
- 曲がりくねった小道から見える位置に多い
- 個人や小さな集団が見た可能性がある
研究では、大きなものを「線タイプ」、石を面としてよけて作る小さなものを「面タイプ」などと分類しています。たくさんの地上絵を比べたことで、大きさだけでなく、描かれたものや置かれた場所にも違いがあると見えてきました。
この章で分かったこと:大きな絵と小さな絵では、特徴も役割も違った可能性があります。
SECTION 06|WALK THE TRAIL
道を歩くと、
絵が次々に現れる。

2025年には、さらに248点が確認されました。見つかった数が増えたことで、小さな地上絵と道の関係を、より詳しく比べられるようになりました。
ある小道には人物や切り取られた頭を表す絵、別の小道には猛禽類、さらに別の小道にはリャマというように、道ごとに絵のテーマがまとまる傾向も見つかりました。歩きながら見る複数の絵が、情報や物語に関係していた可能性があります。ただし、その意味を読めるようになったわけではありません。
この章で分かったこと:小さな地上絵は、人が歩いた道と関係していた可能性があります。
空から一枚の巨大絵を見るのではなく、
地上を歩き、順番に絵へ出会っていたのかもしれない。
CURRENT STATUS|いま、どこまで分かっている?
ここまで分かった。
だから、次の謎が見えてきた。
人が暗い石をよけて作ったこと。大きな絵と小さな絵では、描かれたものや場所に違いがあること。
全部が同じ目的ではなさそうです。大きな絵は多くの人が関わる儀式、小さな絵は道を歩く人が見る情報や物語と関係した可能性があります。
一つ一つの絵が何を意味したのか。誰が、いつ、どんな場面で見たのか。時代とともに役割がどう変わったのか。
では、なんのために描かれた?
ナスカの地上絵は、全部が同じ目的で作られたわけではなさそうです。
大きな地上絵は、多くの人が関わる儀式などに使われ、小さな地上絵は、道を歩く人たちが見る情報や物語に関係していた可能性があります。ただし、一つ一つの絵が何を意味したのかは、まだ研究が続いています。

ナスカの謎は、答えがなくなったのではありません。
「空の誰かに見せるため?」という遠い謎から、「この道を歩いた人たちは、何を見て、何を伝えていた?」という、古代の人々にもっと近い謎へ変わりました。
AIが次の候補を示しても、最後に砂漠を歩き、石の並びを確かめるのは人間です。約2000年前に歩いた人々と、現在の研究者。その足元には、まだ読み解かれていない地上の記録が続いています。
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